
正直、最初は「まばたきを使った一風変わったゲーム」くらいに
思っていました。
いわゆる色物枠というか、変わった操作で驚かせる作品なのかなと。
でも、進めていくうちにその印象は一転しました。
このゲームの一番の魅力は、まばたきそのものではありません。
まばたきという操作を通して描かれる、濃密な人生の物語です。
『Before Your Eyes』は、少し変わった体験がしたい人、
短時間で深く心に残る物語を味わいたい人におすすめしたい1作です。
| ジャンル | アドベンチャー | プレイ人数 | 1人 |
| プレイ時間 | 2時間 | オススメ度 | ★★★★★ |
| 日本語対応 | 〇 |

ゲームの紹介

Before Your Eyesは、プレイヤーのまばたきで物語が進行するアドベンチャーゲームです。
プレイヤーは、死後の魂となった主人公の人生を追体験していきます。
物語の中で見てきたもの、選んできたこと、失ってきた時間を、まばたきとともに振り返っていく作品です。
プレイ時間は約2時間ほど。
まばたき検出を使う場合は、ウェブカメラが必要です。
プレイ体験

最初の印象|まばたきで操作する?最初は完全に色物だと思っていた
ゲームを始めると、いきなりまばたきの設定画面が出てきます。
まばたきを検出します?
正直、この時点でかなり驚きました。
いつも事前情報をあまり入れずに遊ぶので、まばたきを使って進めるゲームだとは知りませんでした。
「そんな操作で本当にゲームになるのか?」というのが、最初の印象です。
設定を終えると、物語は小舟の上から始まります。
目の前にいるのは、語り部のような存在である狼人間。
主人公はすでに亡くなっていて、死後の世界へ向かうために、自分の人生を門番に語る必要があります。
そのため人生を、狼人間と一緒に振り返っていくことになります。
この狼人間が、かなり印象に残りました。
少し怪しげで、でもどこか人間味がある。
辞書を引きながら言葉を選ぶような仕草も良くて、ただの案内役で終わっていない感じがあります。
特に、狼人間がこちらを指差して「ここで瞬きしろ」と促す場面は強く残っています。
このゲームが普通のアドベンチャーではないことを、最初にしっかり突きつけてくる場面でした。
中盤の印象|新鮮な操作が、少しずつ人生を追体験する感覚に変わっていく

物語は、主人公が生まれた直後のシーンから始まります。
各シーンは短いエピソードで構成されていて、まばたきをすると次の場面へ進んでいきます。
つまり、まばたきがそのまま時間の経過になっているわけです。
しかも、このゲームには基本的にクリックボタンのような分かりやすい操作がありません。
ピアノを弾く。
ノートを書き取る。
写真を撮る。
アルバムを開く
そういったアクションを、まばたきや視線の動きで行っていきます。
この操作感はかなり新鮮でした。
感覚としては、初めてWiiリモコンを触った時に近いかもしれません。
「こんな操作でゲームになるんだ」という驚きがあります。
ただ、面白いのはそこからです。
短いシーンの積み重ねの中で、主人公の人生が少しずつ見えてきます。
主人公は、絵を描くことが好きだった。
母は作曲家を志していた。
その夢を、幼い主人公もどこかで背負っていた。
そして、親友と呼べる少女がいた。
節目節目で、主人公の行動をプレイヤーに委ねてくる場面もあります。
大きな分岐を選ぶというより、その瞬間の気持ちに少しだけ触れるような選択です。
その小さな選択が、妙に悩ましい。
たった数秒の場面なのに、「この子にとって、これはどういう意味だったんだろう」と考えてしまう。
刺さった瞬間|見逃したくないのに、まばたきで時間が進んでしまう

最初はただ珍しかったまばたき操作が、物語が進むにつれて、少しずつ意味を持ちはじめます。
最初にそれを強く感じたのは、暗闇の部屋で電話が鳴り響くシーンです。
周りに人の姿はなく、画面は不穏な空気に包まれています。
主人公は、ただ電話に向かってゆっくりと進んでいく。
受話器が取れれは、物語の核心に迫る何かがある。
そんな気配だけが、静かに漂っています。
まだ見ていたい。
この先を知りたい。
そう思って目を開けているのに、まばたきは我慢できません。
そして、まばたきをした瞬間に、次のシーンへ進んでしまう。
この体験が、妙に苦しかったです。
ただの操作ミスではありません。
「目を閉じると、時間が進んでしまう」という感覚そのものが、このゲームの本質に触れているように感じました。
このあたりから、まばたきは単なる変わった操作ではなくなりました。
主人公の人生を追体験するための仕組みとして、少しずつ意味を持ちはじめていきます。
まばたきというギミックを、一発芸で終わらせていない
ここまで読むと、まばたきギミックがすごいゲームだと思われるかもしれません。
もちろん、それも間違いではありません。
ただ、このゲームの一番の魅力は、やはりストーリーです。
そして、他の体験型ゲームと異なると感じたことは、
ストーリーの魅力を引き立てるのに、まばたきというギミックを存分に活かしていることです。
要するに一発芸で終わっていないということです。
「まばたきで操作できます」だけなら、正直ただの珍しいゲームで終わっていたと思います。
でもBefore Your Eyesは、そのまばたきが、物語のある重要な意味と繋がっていきます。
『まばたきをして、時間を進める』という行動を、とある意味のシンボルとして物語の中にきちんと組み込んでいるのです。
詳しく言うとネタバレになってしまうので避けますが、この仕掛けがあるからこそ、終盤の展開に強いカタルシスが生まれます。
ただ変わった操作を入れたゲームではありません。
操作、演出、物語の意味が、最後にちゃんとひとつに重なってくる。
その隅々まで手が届いている感じが、たまらなく良かったです。
微妙だなと思ったところ
一方で、まばたきギミックには気になる部分もありました。
当たり前ですが、まばたきは生理現象です。
自分の意思だけで完全にコントロールできるものではありません。
そのため、不意のまばたきで次のシーンに進んでしまうことがあります。
すると、「今、大事な情報を見逃したのでは?」というモヤモヤが残ります。
このストレスが、ゲーム体験に必要なものだというのは分かります。
見逃したくないのに見逃してしまう。
そのもどかしさも含めて、このゲームの魅力です。
ただ、それでももう少しだけ、上手い折衷案があってもよかったのではないかとは感じました。
もちろん、まばたきを使わずに遊ぶモードもあります。
ただ、このゲームにおいてまばたきはかなり重要な体験なので、そこを外してしまうのは少しもったいないです。
だからこそ、まばたきで遊ぶと強く刺さる。
でも、まばたきで遊ぶからこそ、人によっては少しストレスも感じる。
ここは好みが分かれるところだと思います。
向いている人、向いていない人
短時間で心に残るストーリーを味わいたい人
少し変わったゲーム体験がしたい人
操作そのものに意味があるゲームが好きな人
とっておきの休日に、静かに物語へ浸りたい人
✖まばたきを我慢するのが強いストレスになりそうな人
✖見逃しがあるとかなり気になる人
✖アクション性や攻略感を求めている人
✖ウェブカメラを使う環境を用意したくない人
一言まとめ
花粉症には厳しい。けれど、心には深く残るゲーム



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