【The August Before】ただの荷造りゲームでは終わらない。高い完成度と、惜しい言語の壁

最初はUnpackingのようなゲームを想像していました。
でも本作が描くのは、荷解きではなく荷造り。新しい生活の始まりではなく、今ある生活をたたむ時間です。
プレイしていくと、その違いははっきり表れてきます。しかも、ただの荷造りゲームでは終わりません。多彩な演出にパズル要素まで用意された、想像以上に手の込んだ作品でした。

Unpacking未プレイの方は、先にそちらを遊んでおくと違いがより楽しめるかもしれません。

目次

ゲーム紹介

『The August Before』は、片付けと荷造りを通して主人公の人生をたどっていく、物語性の強い整理ゲームです。

プレイヤーは部屋を整理しつつ、次の新居に必要な物をトランクへ詰めていきます。
チルい音楽を聴きながら無心で片付けを進めていく時間は心地よく、少しずつ部屋が綺麗になっていく気持ちよさもしっかり味わえます。

さらに、本作の魅力はそれだけではありません。
部屋に置かれた持ち物のひとつひとつから、主人公の人となりや歩んできた時間が見えてきます。
ストーリーを直接語るのではなく、物を通してその人の人生を想像させる作りが印象的でした。

プレイ時間は3時間程度。
Unpackingが好きだった人には、かなりおすすめしやすい1本です。

プレイ体験

最初の印象片付けの気持ちよさと、物語の気配

ゲームは、散らかった子ども部屋から始まります。
お掃除に欠かせないのは作業用BGM。床に散らばっているカセットテープのひとつを拾って音楽を流し、片付けスタートです。

部屋の中にはファッション雑誌やミシン、手製の服があり、「服飾の道に進みたい子なのかな」と自然に想像が膨らみます。
こういうふうに、持ち物から人物像が立ち上がってくる感じは、この手のゲームの醍醐味ですよね。

もちろん、ただ片付けるだけでは終わりません。引っ越し準備として、必要な荷物をトランクに詰めていく必要があります。
持っていく物はリスト化されているのですが、ここで当然のように立ちはだかる問題がひとつ。

英語が読めない。

とはいえ、今の時代にはGoogleレンズがあります。
スマホで写真を撮ればすぐ日本語にできるので、遊べないほどではありません。便利な時代です。

また、Unpackingと異なり本作は3D視点なので、操作感には少し不安がありました。
ですが実際に触ってみると違和感はほとんどなく、最初からかなり印象は良かったです。

中盤の変化片付けから“人生をたどる時間”へ

次のステージは学生寮。もちろん、部屋は相変わらず散らかっています。
でも最初の子ども部屋にあった無邪気さのようなものは少し薄れていて、生活の現実味がぐっと増していました。

就職関係のパンフレットが落ちていたり、持ち物の雰囲気が少しずつ変わっていたりして、主人公が子ども時代から先へ進んでいるのが自然と伝わってきます。
同じ人物の部屋を見ているはずなのに、時間の経過によって見え方まで変わってくるのが面白いところです。

この頃にはもう、「片付けて気持ちいいゲーム」という認識だけではなくなっていました。
部屋を整えながら、その人がどんなふうに数年を過ごしてきたのかを想像してしまう。
本作の魅力が、整理整頓の気持ちよさだけではないとはっきり感じたのはこのあたりからです。

刺さった瞬間特殊ギミックが体験を一段引き上げる

部屋も綺麗になり、片付けが終盤に差しかかったころ。
ある場面で、写真を現像することになります。

薬液をなじませる工程を繰り返していくと、少しずつ写真が浮かび上がってくる。
この演出がとにかく良くて、思わず「ここまでやるのか」と感心してしまいました。

本作では、各ステージの終盤にこうした特殊ギミックが用意されています。
しかもどれも単なるミニゲームでは終わらず、しっかり高品質。プレイのアクセントとして機能していて、体験にしっかりメリハリを生んでくれます。

何より強く感じたのは、「ただの片付けゲームでは終わらせない」という制作側の熱量です。
その気合いが、特殊ギミックのひとつひとつから伝わってきました。

特殊ギミックが刺さる理由

1. 片付け一辺倒にならず、体験にちょうどいいアクセントを加えてくれるから

こうした特殊ギミックは、多すぎるとノイズになってしまいがちです。
でも本作では、あくまで片付けゲームの延長線上に収まっていて、主役を食っていません。
アクセントとしてちょうどいい分量だからこそ、最後まで飽きずに遊べました。

2. どのギミックも、ゲームの核心に近づく場面と結びついているから

ただ作業を増やされている感じがなく、「この先に何があるんだろう」と自然に前のめりになれます。
特殊ギミックを解くこと自体が、物語の核心へ近づく体験になっている。
だからこそ、面白さにも納得感がありました。

微妙だなと思ったところ

やはり最大の難点は、英語が読めないと100%楽しみきれた感覚を持ちにくいことです。

翻訳ツールを使えば進行自体はできます。
ただ、「どこかで認識ミスをしていないか」「見落としがあったのではないか」という不安はどうしても残ります。

特に本作は、ストーリーをわかりやすく説明するタイプではなく、プレイヤーに解釈の余地を残す作りです。
そのぶん、言語の壁が体験の質に直結しやすい。ここはかなり惜しいポイントでした。

向いている人、いない人

向いている人


Unpackingが好きな人

片付けや整理整頓そのものが好きな人

少し変わったインディーゲームを遊びたい人

持ち物から物語を読み取る演出が好きな人

こんな人は注意


✖英語が苦手な人

ゲーム中に翻訳を挟むのが面倒な人

ストーリーを明快に理解したい人

一言まとめ

完成度はかなり高い。だからこそ、日本語で遊べる日を待ちたくなる作品でした。

購入サイト
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

お腹にじゃがいもを宿す男。
個人でゲーム開発をする傍ら、
プレイしたインディーゲーム感想ブログを運営中。
youtubeにて、簡単なゲーム紹介動画も作成しているので是非見てね!

コメント

コメントする

目次